パーソン・センタード・ケアは、1990年前後にTom Kitwoodによって提唱された、
認知症を持つ人々それぞれの心理的ニーズに焦点を当てた認知症ケアの考え方の1つです。活力を持ってその人らしい人生を全うすることをサポートすることを目的としています。
その後の臨床研究では、パーソン・センタード・ケアによって生活の質を維持改善できることが示され現在では世界中で認知症ケアのベストプラクティスとして認知されています。
ただし、パーソン・センタード・ケアを用いた認知症ケアの有効性は、認知症を持つ人々だけではなく、それを取り巻く人々によっても大きく左右されます。そのため、効率のみを重視した流れ作業のような認知症ケアの中では、十分に成し遂げることは難しい場合があります。
認知症ケアTriadと密接に関係している認知症に伴う行動や心理的な変化は、それ自身が認知症ケアTriadに悪影響を与える場合と、認知症ケアTriadが上手く機能していないことによって生じる場合とがあります。
いずれの場合も認知症ケアTriadの機能不全を引き起こし、より深刻な行動や心理的な変化を招くという負の連鎖をもたらす可能性があります。
認知症ケアTriadの機能を維持または再構築することによって、そのような行動や心理的な変化に対応することが可能となり、パーソン・センタード・ケアに基づいた持続的な認知症ケアの実現に繋がります。
Aikomiは、我々のテクノロジーの科学的な効果検証を続けています。
その効果検証には、医薬品の効果検証試験に用いられている確立された指標を使用するだけでなく、より客観的に効果を判断するための新しい指標も取り入れています。また、デジタルテクノロジーを用いて状態を観察し、その数値化も可能にしています。
以前、オーストラリアの大学とAikomiプラットフォームの予備的な効果検証を行いました。その中で、Aikomiの提供する個別化プログラムが認知症の人々の自発性を促し、ご家族などとの関係性を改善する可能性があることが示されました。
今後も大学や製薬会社等と協力しながら、パーソン・センタード・ケアを実現する認知症向けのデジタルセラピーの確立に向け、効果検証を行っていきます
参考文献
Person Centered Care (PCC) McGreevy J. et al. (2015) Dementia and the person-centred care approach Nursing Older People, 27, 27-31 Responsive behaviours (BPSD) Dupuis, S. et al. (2012) Pathologizing behavior; Meanings of behaviors in dementia care. Journal of Aging Studies, 26 (2), 162-173. Triad Care Fortinsky, R.H. (2001) Health care triads and dementia care: integrative framework and future directions Aging & Mental Health, 5 (Supplement 1): S35–S48 BPSD Treatment Corbett, A. et al. (2012) Treatment of Behavioral and Psychological Symptoms of Alzheimer’s Disease. Current Treatment Options in Neurology. 14, 113-125. BPSD Treatment and Prevention Corbett, A. et al. (2015) Evidence-Based Treatment and Prevention of Behavioural and Psychological Symptoms of Alzheimer’s Disease. Frontiers in Clinical Drug Research – Alzheimer Disorders, 3, 115-134. Cognitive Stimulation Therapy (CST) Rai, H. et al. (2017) Cognitive Stimulation Therapy for Dementia. Clinical Geriatric Medicine, 34, 653-665.