コンセプト&テクノロジー

パーソンセンタード・ケアとは

パーソンセンタード・ケアは、1990年前後にTom Kitwoodによって提唱された、認知症を持つ人々それぞれの心理的ニーズに焦点を当てた認知症ケアの考え方の1つです。活力を持ってその人らしい人生を全うすることをサポートすることを目的としています。
その後の臨床研究では、パーソンセンタード・ケアによって生活の質を維持改善できることが示され、現在では世界中で認知症ケアのベストプラクティスとして認知されています。
ただし、パーソンセンタード・ケアを用いた認知症ケアの有効性は、認知症を持つ人々だけではなく、それを取り巻く人々によっても大きく左右されます。そのため、効率のみを重視した流れ作業のような認知症ケアの中では、十分に成し遂げることは難しい場合があります。

  • うつ
  • 無関心
  • 興奮

認知症に伴う行動や心理的な変化とは

認知症に伴う行動や心理的な変化は、周辺症状またはBPSDとして知られていますが、現在海外ではResponsive behavioursと呼ばれることも多いようです。
このような変化は、認知症を持つ人々にしばしば見られる興奮、イライラ、無関心、妄想、幻覚、うつ、ひとり歩き等に代表されます。
認知症ケアTriadに混乱をもたらすだけでなく、早期の施設入所、介護負担の増加、医療費の増加などを引き起こしますが、 一般的に薬物又は非薬物による根本的な治療方法は、現在のところありません。

認知症ケアTriadへの影響

  • 認知症に伴う行動や心理的な変化
  • 認知症ケアTriad

認知症ケアTriadと密接に関係している認知症に伴う行動や心理的な変化は、それ自身が認知症ケアTriadに悪影響を与える場合と、認知症ケアTriadが上手く機能していないことによって生じる場合とがあります。

いずれの場合も認知症ケアTriadの機能不全を引き起こし、より深刻な行動や心理的な変化を招くという負の連鎖をもたらす可能性があります。
認知症ケアTriadの機能を維持または再構築することによって、そのような行動や心理的な変化に対応することが可能となり、パーソンセンタード・ケアに基づいた持続的な認知症ケアの実現に繋がります。

Aikomiのコンセプト

- その人の生きてきた証を如何に大切にしていくか -

社会心理学的介入は、認知機能や日常的な動作の改善、活力のある生活の維持を目的としてしばしば行われます。認知症に伴う行動や心理的な変化の抑制にも活用され、音楽療法、回想法、認知刺激療法、現実見当識訓練などの手段が用いられています。
しかし医薬品のように試験によって効果の検証が行われたものは限られており、携わる介入実施者の技量や個別対応の限界からもその効果は左右されます。
こういった課題を乗り越えるためにAikomiが開発したのは、認知症の方それぞれの人生背景、能力、好みに合わせた個別化プログラムを提供するプラットフォームです。
AIを活用して、認知症の方それぞれにとって価値のあるコンテンツを提供し、その人の生きてきた証をプラットフォーム上で再現します。

  • 1

    集中力を維持する

  • 2

    コミュニケーションを促進する

  • 3

    不安を軽減する

  •  

     

効果の検証

Aikomiは、我々のテクノロジーの科学的な効果検証を続けています。
その効果検証には、医薬品の効果検証試験に用いられている確立された指標を使用するだけでなく、より客観的に効果を判断するための新しい指標も取り入れています。また、デジタルテクノロジーを用いて状態を観察し、その数値化も可能にしています。
以前、オーストラリアの大学とAikomiプラットフォームの予備的な効果検証を行いました。その中で、Aikomiの提供する個別化プログラムが認知症の人々の自発性を促し、ご家族などとの関係性を改善する可能性があることが示されました。
今後も大学や製薬会社等と協力しながら、パーソンセンタード・ケアを実現する認知症向けのデジタルセラピーの確立に向け、効果検証を行っていきます。

参考文献